七十二候とはなんだろう-その③秋

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こんにちは、原田です。

今年も本当に厳しかった猛暑も、最も厳しい時期は何とか抜けてきたでしょうか。世の中の状況も相まって盛夏の疲れの出やすい時期に差し掛かりましたが、皆様どうかお体にはくれぐれもお気をつけください。今回は、暑い夏も終わり実りの秋が訪れる、七十二候しちじゅうにこうの「秋」の時期について紹介していきます。

『秋』の七十二候

●二十四節気「立秋(りっしゅう)」

涼風至(すずかぜいたる):8月7日頃

七十二候が立秋の初候に変わり、涼しい風が吹き始めます。 まだ残暑は厳しいものの、夕暮れになるとどことなく涼しげな風が吹き、雲の色や形にも、澄み渡った秋のにおいが感じられるようになってきます。日が落ちていくと草むらから虫たちの涼しげな音色が聞こえ始め、季節の移ろいが感じられます。

寒蝉鳴(ひぐらしなく):8月12日頃

「カナカナカナ」と甲高くひぐらしが鳴きだします。日暮れに響く虫の声は、一服の清涼剤になります。実際にはもう少し早くから鳴き始め、7月頃から聞こえだします。よく鳴くのは気温が安定した日の出前や日没後の薄暗い時間帯ですが、気温が下がると日中でも鳴くようになるようです。涼しげなその鳴き声からは、過ぎ去ってしまう夏を惜しんでいるかのような哀愁も感じられます。

蒙霧升降(ふかききりまとう):8月17日頃

深い霧が立ち込めます。春は「霞」に対して、秋は「霧」と呼びます。「蒙霧もうむ」とは、特によく立ちこめる濃い霧のことを指します。この時期の早朝、前日に雨が降り空気が湿り気を含んでいる時には、山や水辺に深い霧が立ち込め、幻想的な風景が見られることもあります。残暑の厳しさは相変わらずですが、朝夕は少しずつ涼しくなる季節です。
ちなみに霧と雲は現象としては同じですが、大気中に浮かんでいるものが「雲」であり、地面に接しているものを「霧」と分けられます。

●二十四節気「処暑(しょしょ)」

綿柎開(わたのはなしべひらく):8月23日頃

綿を包む「うてな=花のがく」が開き始める頃となります。綿は、7~9月にかけて黄色い花を咲かせ実をつけますが、その実はやがてはじけ、ふわふわとした白い「綿毛」が顔を覗かせます。
ちなみに綿は、植物としての呼び名は「わた」ですが、製品になると「めん」と呼ばれます。

天地始粛(てんちはじめてさむし):8月28日頃

空も大地も暑さがようやくおさまり始めます。「粛」は縮む、しずまる、弱まるという意味であり、夏の気候が落ち着き、自然の環境が変わる季節とされています。天気図には秋雨前線が登場し、北の方から冷たい空気を運んできます。北国や山などでは一気に季節が動き始め、平野部でも少しずつ秋へ向かう気配が感じられます。

禾乃登(こくものすなわちみのる):9月2日頃

遂に稲が実り、穂を垂らす時期になります。「禾」は「いね」や「のぎ」とも読み、稲・麦・稗・粟などの穀物を総称した言葉で、稲穂が実ったところを表した象形文字です。日に日に稲穂はこぼれるように実り、黄色く色づき始めます。稲穂が頭を垂れるといよいよ刈入れ間近ですが、この時期は台風が非常に多く、農家の人々はまだまだ気が抜けません。

●二十四節気「白露(はくろ)」

草露白(くさのつゆしろし):9月7日頃

草に降りた露が白く光って見えるようになります。朝夕の涼しさが際立ってきて、野の草に降りた朝露が白く光って見える頃となりました。露は夏から秋への季節の変わり目など、朝晩の気温が下がる日によく見られ、秋の季語にもなっています。

鶺鴒鳴(せきれいなく):9月12日頃

「チチッ、チチッ」と高い声を放ちながら、セキレイが鳴き始める季節です。セキレイは日本神話にも登場しイザナギとイザナミを導いたことから、別名を「恋教え鳥」といいます。秋の空をさわやかに飛んでいくセキレイ。水辺を好む鳥ですが、民家の軒下などにも巣を作るので、その鳴き声だけでも聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

玄鳥去(つばめさる):9月17日頃

春先にやってきたツバメが帰り始める頃となります。子育てを終え南へ帰っていくため、来春までしばしのお別れです。子育てを終えたツバメは、季節の移り変わりとともに暖かい南の地域へと旅立っていきます。越冬先である東南アジアやオーストラリアまでは数千km。1日300km以上移動することもあるそうです。

●二十四節気「秋分(しゅうぶん)」

雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ):9月23日頃

春から夏にかけて鳴り響いた雷がおさまります。今回の候は、春分の末候「雷乃発声かみなりすなわちこえをはっす 」と対になっています。春分に鳴り始め、秋分に収まる雷、それは稲が育っていく時期と重なります。そのため昔の人は稲妻が稲を実らせると考えました。
ちなみに「雷」は夏の季語ですが、「稲妻」とした時は秋の季語となります。

蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ):9月28日頃

虫たちが土にもぐり、入口の戸をふさぎます。冬ごもりの支度をする時期となり、寒さを覚えた虫たちが地中に姿を隠す頃になります。今回の候は、啓蟄の初候「蟄虫啓戸すごもりのむしとをひらく」と対になっています。夏が終わり外で活動していた虫たちは寒さの到来を察知して、冬ごもりの支度を始めます。

水始涸(みずはじめてかる):10月3日頃

田んぼの水を抜き、稲穂の刈り入れを始めます。井戸の水が枯れ始める頃との説もありますが、稲穂が実りの時を迎えるこの時期は、あぜの水口を切って田んぼを乾かし、稲刈りに備える時期でもあります。

●二十四節気「寒露(かんろ)」

鴻雁来(こうがんきたる):10月8日頃

雁が北から渡ってくる頃となります。清明の時期に北へ帰っていった雁たちが、再びやってきます。今回の候は、清明の次候「鴻雁北こうがんかえる」と対になった候で、ツバメなどの夏鳥が南へ帰るのとは入れ違いに、春に北へ帰って行った冬鳥が再び日本へやってきます。

菊花開(きくのはなひらく):10月13日頃

菊の花が咲き始めます。この時期にひと月遅れで迎える旧暦9月9日の「重陽の節句」は、ちょうど菊の花の盛りの時期に当たります。別名を「菊の節句」とも言われ、昔からこの日には菊の花を浮かべた菊花酒を飲み、長寿と無病息災を願うという風習がありました。

蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり):10月18日頃

道々で秋の虫が鳴き始める頃となります。「キリギリス」とありますが、昔は「蟋蟀コオロギ」のことを「キリギリス」と呼び、秋に鳴く虫の総称でもありました。コオロギは「コロコロ」、鈴虫は「リーンリーン」、松虫は「チンチロリン」と鳴き、秋の夜長を賑やかに楽しませてくれます。

●二十四節気「霜降(そうこう)」

霜始降(しもはじめてふる):10月23日頃

北国からだんだんと山里に初霜が降り始め、草木や作物を枯らしてしまう霜を警戒する時期です。晩秋のこの頃、朝晩の冷え込みが一気に増し早朝には草木や地面にうっすらと氷の結晶が付いていることに気付くことが増えます。霜が降りるようになると、地面近くの気温は氷点下まで下がっていきます。

霎時施(こさめときどきふる):10月28日頃

ときどき小雨が思いがけず降っては止む季節となります。平安・鎌倉時代の漢字の使い方では、「霎」を「しぐれ」と読むこともあるようです。この小雨とは、秋雨のようにしとしと降り続く雨ではなく、ぱらぱらと通り雨のように降り、すぐに止んでしまうような「時雨しぐれ」のことです。
ちなみに時雨は、季節風が山地に突き当たり上昇するときに、冷えて雲を生むため雨を降らせます。そのため京都や長野、岐阜、福島のような山に囲まれた地形の場所に多いです。

楓蔦黄(もみじつたきばむ):11月2日頃

かえでや蔦の葉が色づき、秋の山々は赤や黄に彩られ、紅葉狩りの季節です。北国や山々はすでに紅葉している時期ですが、紅葉前線が日ごとに南下してくる晩秋には、平地でも美しい秋の景色が楽しめます。秋が深まるごとに色を重ね、そして散っていく紅葉は、移ろう季節を愛する日本人にとって、春の桜と同じくらい待ちわびられる存在でしょう。

いかがだったでしょうか。
今回は秋の季節にあたる七十二候を見てみました。虫や鳥の特徴的な鳴き声や、収穫、夏の青々とした葉から紅葉、冬の季節へと変化がありましたね。
次回は最後に残った冬の七十二候を見ていきましょう。

【参考文献】
・『絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候』
水野 久美 (著)

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