日本の暦 和風月名って?

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こんにちは、藤島です。

2020年も残すところあと10日。『新語・流行語大賞』の “年間大賞” が「3密」。 『今年の漢字』も「密」(ミツ・ひそかに)。とにかくコロナに翻弄され、消耗させられた2020年でしたね。

コロナ禍の中、「当たり前の日常」が奪われた現在、「普通」「当たり前」がいかに大切であったかに気づき、今までの自分自身の人生を振り返り、これからをどう生きていくかを考えてる人も多いと思います。(私も節目の年を迎え、これからの自分の生き方を模索してるところです。)

日本が、日本人がずっと大事にしてきた文化や日本人ならではの感性を、今一度考えてみる良い機会になったのでは?そう前向きに捉えています。

今回は、 『和風月名』についてお話していきたいと思います。

和風月名とは

和風月名 (わふうげつめい) は、旧暦の行事や季節に合わせた月の名前で、現在のカレンダーでも使用されています。日本は、季節季節の変化がはっきりしていて、年間を「春」「夏」「秋」「冬」の四季に4等分できる国であり、四季を大事にする民族のため『和風月名』というその月々にふさわしい呼び名を大事にしてきたのかもしれませんね。

では、順番に説明していきます。

1月 睦月(むつき)

新年、親類一同が顔を合わせ、共に仲睦まじく過ごす月なので、それがやがて「睦月(むつき) 」 となっていたと言われています。また、「生月(うむつき) 」 が転じたという説もあります。

2月 如月(きさらぎ)

旧暦の2月は現在の3月半ばなので、寒さがぶり返し、一旦脱いだ衣を更に着る月という意味の 「衣更着」 が 「きさらぎ」 の語源になったという説が有力です。

3月 弥生(やよい)

木や草が生い茂る月という意味の 「木草弥や生ひ月(きくさいやおひづき)」 という言葉が詰まりなまって、「弥や生ひ(いやおひ)」 から 「やよい」 になったと言われています。

4月 卯月(うづき)

卯の花が咲く時期なので、「卯月(うづき)」 と呼ばれるようになったと言われています。卯の花とは、ウツギの花の別称。 花が卯月(旧暦4月)に咲くことから 「卯(う)の花」 とも呼ばれ、古くから初夏の風物詩とされてます。

ウツギの花
参照: 植物図鑑 (asukanet.gr.jp)

5月 皐月(さつき)

早苗(稲の苗)を植える月のため、「早苗月(さなえづき)」 が、縮まったものとされていますが、早苗の 「さ」 自体に田植の意味があるため 「さつき」 になったという説、さつきの 「さ」 を、神に捧げる稲の意味がある 「皐(さ)」 に置き換えたものだ、とする説など諸説あります。

6月 水無月(みなづき)

田に水を引くため、それ以外の水が無いという説、暑さで水が干上がってしまうから水が無い 「水無月」 だという説、そして水無月の 「無(な)」 が 「の」 にあたる連体助詞だという説などありますが、梅雨明けにあたる陰暦6月が、田に水を引く時期であったことから 「水無月(みなづき)」 と呼ばれたという解釈が一般的です。

7月 文月(ふみづき/ふづき)

文月の由来や語源は諸説あります。その中でも「文被月(ふみひろげづき/ふみひらきづき)」が短くなり「文月」になったという説が有力です。「文被月」は「文(ふみ)を広げて晒す月」という意味があり、書道の上達を祈って短冊に願い事や歌などを書いて笹に飾るという七夕の行事にちなんだ呼び方といわれています。また稲の穂が実る意味の「含み月(ふくみづき)」、稲穂を観察するという意味の 「穂含月(ほふみづき/ほみづき)」 といった稲穂の「穂」からきているという説もあります。

8月 葉月(はづき)

木の葉が紅葉して落ちる月という事で、「葉落ち(はおちづき)」が転じて葉月となったという説や稲の穂が張る「穂張り月(ほはりづき)」という説、雁が初めて来る「初来月(はつきづつ)」という説、南方からの台風が多く来る「南風月(はえづき)」という説などがあります。

9月 長月(ながつき)

秋の夜長を意味する「夜長月(よながづき)」が略されたという説が有力です。他には、稲の穂が熟する刈り入れの時期の意味で「稲熟月(いなあがりつき)」、稲刈りの時期なので「稲刈月(いねかりづき)」、秋の長雨の「長雨月(ながめづき)」、稲穂が実る「穂長月(ほながつき)」などがあります。

10月 神無月(かんなづき/かみなしづき)

11月の新嘗祭(にいなめさい)の準備で収穫したばかりの米で新酒を醸す意味の「醸成月(かみなしづき)」とする説が最も有力。その他には、神無月の「無・な」が「の」にあたる連体助詞「な」で「神の月」という説、雷シーズン終了の意味の「雷なし月(かみなりなしづき)」という説もある様です。よく言われてる神々が出雲の国に行ってしまい、留守になるという意味の「神なき月」が転訛し「神無月」になったというのは俗説のようです。

11月 霜月(しもつき)

文字通り霜が降る月の意味である「霜降月(しもふりつき)」の略で「霜月」となったというのが有力です。他に、「食物月(おしものづき)」の略であるとする説や「凋む月(しぼむつき)」「末つ月(すえつつき)」が訛ったものとする説もある様です。11月は『新嘗祭』(にいなめさい)などの収穫を祝う行事が多くあり、それらを食べる月で「食物月」という名前がついたとも言われてます。「食物(たべもの)」は、元々は「多米都物(ためつもの)」といい、大嘗会(だいじょうえ)の時に、臣下に賜る酒・食べ物の総称になります。

伊勢神宮では、天照大御神をはじめとする神々に神饌をお供えする大御饌の儀が行われ、
続いて勅使が天皇陛下の幣帛を奉る奉幣の儀が行われます。 内宮正宮:早朝参拝で撮影

※新嘗祭(にいなめさい)、大嘗祭(だいじょうさい)についての記事はこちら

12月 師走(しわす/しはす)

僧(師)を迎えてお経を読んでもらう月でした。師が馳せる月という意の「師馳す」が転訛し、走るという字があてられるようになったといわれてます。しかし、「師走」は当て字であるとも考えられ、年が終わる意味の 「歳極(としはつ)」、年が果てる(終わる)という意味の「年果つ」が「しはす」に変化したという説、四季の果てる月を意味する「四極(しはつ)」だという説、農事を全て終えたという意味の「万事し果つ月(ばんじしはつつき)」から転じたという説も有力です。

こうして見てくると、『和風月名』は、農耕作業と深い関係がある様に思われます。古い時代では日本人の生活の中心となっていたのは農業であり、農業をする上では季節の変化をとらえ、それに合わせた生活をしていく事が重要でした。そこで独自の月の呼称である『和風月名』が誕生したのではないかと言われています。実際、『和風月名』の名称は、気候や時期の祭事などに関連したものが多く見られます。暦は季節の変化を計る(示す)ための道具であり、人間の社会生活のリズムを刻む道具でもあるのです。

今年は、年末年始の休暇の分散化が政府から呼びかけられています。長期休暇が取れそうなら、のんびりと家族で日本の行事を楽しんでみてはいかがですか?

ねずみから牛にバトンタッチ。2021年は明るい年になります様に。
上:狛ねずみがお出迎えしてくれる京都の大豊神社(おおとよじんじゃ)さん
下:墨田区に鎮座する牛嶋神社(うしじまじんじゃ)さんの撫牛(なでうし)

 

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