七十二候とはなんだろう-その①春

ブログ

 

こんにちは、原田です。

 

季節の区分として、二十四節気という一年間の春夏秋冬をそれぞれ6つ、24の季節に分けて表現する区分がありましたね。

※参考 https://lp.tosyo-kyokai.co.jp/2021/05/24/nijusisekki/

 

今回はそれをさらに細分化して表している、七十二候しちじゅうにこうについて紹介していきたいと思います。二十四節気は半月毎の季節の変化を表現していますが、これをさらにおおよそ5日ごとに分けて、天気や動植物の変化を表すのが七十二候です。二十四節気が、この区分がなされた当時のものがほぼそのまま現在でも使用されているのに対して、七十二候は時代の移り変わりによって何度も変更がなされてきました。

江戸時代に入って日本の気候風土に合うように改定がなされ、「本朝七十二候」が作られました。現在主として使用されているのは、明治時代に改定された、本暦から日常生活に必要な事項だけを抜き出して作った簡略な暦、「略本暦」です。

ちなみに「気候」という言葉は、この二十四節気の「節気」と七十二候の「候」からできています。

 

七十二候の名称は、気候の変化や動植物の様子が短い文で表されています。私たちの暮らしでは目にする機会の少ない事象もありますが、ほとんどはその時期の「兆し」を伝え、繊細な季節のうつろいを感じさせてくれます。今回は春の七十二候を紹介します。

 

『春』の七十二候

二十四節気「立春(りっしゅん)」

東風解凍(こちこおりをとく):2月4日頃

東風こち」とは春風のことを表しています。東風は、春本番ののんびりと穏やかな風とは違い、まだ冷たさが残っていますが、東風が吹くようになると寒気が緩み、春を告げる風として喜ばれてきました。春の暖かい風が吹き、川や湖の氷を解かし始める時季です。

黄鴬睍睆(うぐいすなく):2月9日頃

山々で鴬が鳴き始めます。「睍睆けんかん」とは鳴き声が良いという意味で、その美しい音色からウグイスは、オオルリ、コマドリとともに日本三鳴鳥に数えられています。ウグイスは春の訪れを告げる「春告鳥」とも呼ばれます。

魚上氷(うおこおりをいずる):2月14日頃

水の温度も暖かくなり、割れた氷のすき間からは魚が飛び跳ね、活気が出てきます。春先の薄く張った氷や解けかけの氷を「薄氷うすらい」と呼びます。吹く風も柔らかくなり、温かくなった水の中には、泳ぎまわる魚の姿が見え始めます。

二十四節気「雨水(うすい)」

土脉潤起(つちのしょううるおいおこる):2月18日頃

雪がしっとりとした春の雨に変わっていき、凍てついた大地が潤い始めます。「みゃく」とは「脈」の異体字です。春の気配が忍び寄り、眠っていた植物が芽吹き始める季節です。

霞始靆(かすみはじめてたなびく):2月23日頃

春の霞が「たなびき」始める気候です。冬の乾いた空気に比べて大気中に細かな水滴が増え、遠くの景色がぼんやりとかすんで見える「かすみ」がかかります。この頃の春の霞んだ月を「朧月おぼろづき」と言います。

草木萌動(そうもくめばえいずる):2月28日頃

様々な草木が次第に芽吹き始める、春への準備を始めます。草の芽が萌え出すことを「草萌え」と言います。着々と長くなる太陽の光が自然に降り注ぎ、春の兆しは確実な気配へと変わっていきます。

二十四節気「啓蟄(けいちつ)」

蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく):3月5日頃

まるで戸を啓いて顔を出してくるかのように、冬ごもりをしていた生きものたちが姿を表し始めます。昔の人は、冬の間に土の中にいた虫たちが「戸」、つまり穴を開けて顔を出すと表現していました。

桃始笑(ももはじめてさく):3月10日頃

桃のつぼみがほころび、花が咲き始めるようになります。花が咲くことを「笑う」と表現します。そこから「山笑う」は春の季語にもなっていて、芽吹き始めた華やかな山のことを表現しています。

菜虫化蝶(なむしちょうとなる):3月15日頃

あおむしのさなぎが孵化し、ちょうちょになる季節です。「菜虫」は菜を食べるあおむしのことで一般的にはちょうの幼虫を指します。菜の花が咲き出し、まさにこれから春本番を迎えます。

二十四節気「春分(しゅんぶん)」

雀始巣(すずめはじめてすくう):3月20日頃

すずめが巣作りを始めます。昼の時間が少しずつ伸び出して、たくさんの小鳥たちが繁殖期を迎え、活気づく季節です。「すずめの巣」と春に生まれたすずめのひな鳥たち「すずめの子」は、春の季語です。

桜始開(さくらはじめてひらく):3月25日頃

桜の花が次第に咲き始めます。全国的に桜が咲き、お花見の季節の到来です。お花見の見頃は開花から約1週間ほどですが、桜の木の種類や標高、日当たり、天気によっても異なります。

雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす):3月30日頃

春の訪れを告げる雷が鳴り響き始めます。「春雷」は冬の間見かけなかった虫たちが動き出す合図、「虫出しの雷」とも呼ばれています。「春雷」は夏の雷と違って激しくはなく、鳴ったかと思うと、それきり止んでしまうことがあります。

二十四節気「清明(せいめい)」

玄鳥至(つばめきたる):4月5日頃

ツバメが南の国から渡ってくる時季です。冬は暖かい東南アジアで過ごし、春になると繁殖のために日本に来ます。「玄鳥げんちょう」とはツバメの異名であり、黒い鳥という意味です。ツバメが飛来してきたら、本格的な農耕シーズンが近いです。

鴻雁北(こうがんきたへかえる):4月10日頃

春に飛来するツバメと入れ替わるように、雁が北へ帰っていく季節です。雁は夏場をシベリアで、冬を日本で過ごす渡り鳥です。「鴻雁」とは、雁のことですが、「鴻」は「ひしくい」と読み大型の雁を、「雁」は小型の雁を指しています。

虹始見(にじはじめてあらわる):4月15日頃

春が深まってくるとだんだん空気が潤ってくるので、雨上がりに美しい虹が架かります。夏に比べて淡く消えやすい春の虹も、次第にくっきりしてきます。

二十四節気「穀雨(こくう)」

葭始生(あしはじめてしょうず):4月20日頃

山々だけでなく、水辺に葭(あし)が芽吹き始めます。葭は夏になると背を伸ばし、秋にはきれいな黄金色の穂をなびかせます。日除けの「よし」を「よし」と読むのは、日本独自の忌み言葉で、「悪し」に通じることから「善し」と読みます。

霜止出苗(しもやんでなえいずる):4月25日頃

夜間の冷え込みもおさまり霜が降りなくなってきて、苗代で稲の苗がすくすくと成長していく時期です。霜は作物に対する影響が強く、特にお茶の葉には大敵です。ここから農作物のシーズンの到来です。

牡丹華(ぼたんはなさく):4月30日頃

牡丹が大きな花を咲かせる季節です。牡丹は、春の終わりから初夏にかけて直径10~20cmの美しい花をつけ、色も紅・淡紅・白・紫など豊富です。非常に美しく艶やかな牡丹は「百花の王」と呼ばれています。

 

春の七十二候は以上です。いかがだったでしょうか。次回は夏の七十二候を見ていきましょう。

【参考文献】

・『絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候』水野 久美(著)

タイトルとURLをコピーしました