こどものグリット(やり抜く力)の伸ばし方

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こんにちは。小宮です。

昨今では、技術革新や新しい雇用が誕生し続ける社会において、非認知能力の重要性が高まっています。非認知能力とは、目標に向かうために努力する力や意欲など、数字では測りにくい能力のことです。

知識や記憶力、判断力、読み書きなどの知的能力を指す認知能力は、知能指数で表すことができます。それに対して非認知能力は、根気強さや注意深さ、意欲など、感情のコントロールに関する能力を意味しており、数値化することが困難です。

以前のブログ「こどもの自制心の高め方」では、その非認知能力の1つである自制心について、また、こどもの自制心の高め方についてお話ししました。

今回は非認知能力において自制心と共に重要だといわれるグリットについてお話しします。

 

グリットとは

グリット(GRIT)とは、心理学者でペンシルバニア大学の教授であるアンジェラ・リー・ダックワース氏が提唱した理論で、「やり抜く力」または「粘る力」だと定義されます。

物事・課題に対して挫折をしても途中で投げ出すことなく工夫して取り組み、最後までやり抜く力のことだといわれています。

このグリットは「非認知能力」に分類されます。

グリットを提唱したダックワース氏がシカゴの学校で高校2年生を対象に、やり抜く力が卒業や退学に及ぼす影響を調査したところ、グリットを持つ学生は退学せずに、きちんと卒業していく確率が高いと分かりました。

教育現場では知的能力を測る最適な方法としてIQが用いられていますが、学校で高い成績を収める秘訣は、IQや能力の高さではなく、時間をかけてじっくり取り組んで習得しようとするやり抜く力や情熱こそが大切だとしています。

また、グリットには以下のような特徴があり、後天的なもので、努力を重ねて身に付けていくものとされています。

生まれ持った才能・知能は関係がない
失敗を恐れず挑戦することが重要
長期間、継続的に粘り強い努力を要する

ダックスワース氏は才能やIQや学歴ではなく、個人のやり抜く力こそが、社会的に成功を収める最も重要な要素であると唱えています。

ダックスワース氏はグリットについてTEDで講演されています。

出典:Angela Lee Duckworth • TED Talks Education

グリットは、Guts、Resilience、Initiative、Tenacityの4つの頭文字をとった言葉で、それぞれの頭文字を取って「GRIT」と呼びます。

Guts(ガッツ):困難に立ち向かう力、度胸
Resilience(レジリエンス):失敗してもくじけない粘り強さ、回復力
Initiative(イニシアチブ):自ら目標を定め取り組む力、自発性
Tenacity(テナシティ):挫折しても最後までやり遂げる力、執念

また、英語の「grit」には「歯をくいしばる」「困難にあってもくじけない気概」という意味があります。言葉自体は昔からありますが、近年の研究により、人生を成功に導く重要な要素として注目されています。

 

グリットの8つの要素

グリットは8つの要素から成り立っています。

  • 情熱
  • 幸福感
  • 目標設定
  • 自制心
  • 失敗に対する恐れのなさ
  • 謙虚さ
  • 粘り強さ
  • 忍耐

これらを意識して作用させることで、周囲からの評価が高くなり、周囲も成長したいという気持ちが生まれ、プラスのスパイラルに入ることができます。グリットを良い方向に発揮するためにはこれらの要素が必要であると意識しましょう。

8つの要素のうちどれか1つが大きく欠けている場合、嫉妬心や慢心などを持った、いわゆる「偽りの成功」へと突き進んでしまいます。

グリットが悪い方向に作用してしまうと、強情になり方向転換ができなくなってしまいます。グリットを良い方向に発揮するために8つの要素を意識しましょう。

 

こどものグリットの伸ばし方

グリットを高め伸ばすために重要なことは「興味」「練習」「目的」「希望」です。

何か興味を持ったことを反復して練習し、目的を達成するための努力をします。途中で失敗しても希望を失わず前に進むことが大切です。これがグリットを伸ばすための基本行動です。

当たり前のことのように感じますが、常に意識しておくことが大切で、実行につながります。以上のことを踏まえたうえで、こどものグリットを伸ばす親の行動を紹介します。

 

褒める

結果ではなく過程や努力を褒めましょう。勉強を例に挙げると、テストの成果に対して「頭がいいね」と能力や結果だけを褒めると、こどもの学習意欲を下げることが分かっています。結果よりも、「がんばったね」と過程を認めてあげることが、粘り強さを育てることにつながります。

正しく褒めることで、こどもの自己肯定感が高まり、意欲向上にもつながるでしょう。

こどもの褒め方については以前のブログでご紹介していますので、よろしければご覧ください。

こどもを伸ばす褒め方とは
こんにちは。小宮です。 こどもは褒...

 

手本を見せる

大人があきらめずにがんばる姿を見せることはとても効果的です。うまくいかず落ち込む姿も隠さずに、困難に粘り強く立ち向かい、やりきった先には達成感や幸福感が待っていることを身近で見せることで、こどもにとても良い影響を与えるでしょう。

もう1つの手本は伝記を読むことです。グリットの高い偉人たちの物語は、こどものよい手本になるはずです。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。こどもが将来社会で活躍するために、グリットはとても重要な非認知能力です。しかし、グリットにも多くの要素があり、どの要素が大きく欠けても悪い方向に進んでしまう可能性があります。また、グリットだけを伸ばすと、場合によっては柔軟性を欠き助言を受け入れない状態に陥ってしまうことがあります。

非認知能力はバランスよく満遍なく伸ばしていくことが大切です。

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