こんにちは、藤島です。関東甲信は、14日に平年より7日遅い梅雨入りをしました。いよいよ梅雨本番です。
ところで、皆さんは『夏越の祓』(なごしのはらえ)というのをご存じですか?
夏越の祓とは
まずは、 「大祓」についてお話しますね。太古、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が不浄(ふじょう)に触れられたときに、海で禊(みそぎ)をされた故事に始まって以来、代々の朝廷において行われてきた行事です。
「夏越の祓」は、1年を半分にした6月の晦日(みそか)旧暦の6月30日に執り行われていた神事です。心身の穢れ(けがれ)や災厄の原因となる罪や過ちを祓い清める儀式であり「名越の祓」「夏越神事」「六月祓」とも呼ばれてます。応仁の乱で宮中行事として廃絶してからは、神仏習合の影響もあり、民間でも夏越の祓は執り行われなくなってしまいましたが、1871年の太政官布告で復活し、新暦となった現在でも6月30日頃に各地の神社で執り行われています。
夏越の祓でもっとも知られている行事は、茅の輪(ちのわ)くぐりですが、皆さんも神社でご覧になった事があるかと思います。
参道の鳥居などの結界内に、茅(ちがや)という草で編んだ直径数メートルの輪を作り、茅の輪の前で一礼をし、左回り→右回り→左回り→お参りというように「8の字」を描く様に3回くぐることで厄災を祓い清めるというものです。
茅の輪くぐりは「備後風土記」に書かれた『蘇民将来』の説話が由来となっています。昔、北海にいらっしゃった武塔神(スサノオノミコト)が南の海の神の娘に妻問いに通っていたのですが道に迷い、蘇民将来と巨旦将来の二人の兄弟に、一夜の宿を頼んだところ、裕福だった弟の巨旦将来はこれを断り、貧しかった兄の蘇民将来が喜んで家に招いて粟ご飯を炊いてもてなしたそうです。武塔神は恩返しとして、蘇民将来に「茅の輪」のお守りを授け、蘇民将来一家の人々の腰に着けさせたところ、村に疫病が流行って、皆が死に絶えてしまったのに、蘇民将来一家だけが無事だったという事でそれ以来、厄払いと無病息災のため、茅の輪くぐりが執り行われるようになったと考えられています。
そして、しめ縄の中央には「蘇民将来子孫家」と書かれた木札が見られます。
形代とは
お祓いをする時に使われるものが形代(かたしろ)です。これは人の形に切り抜かれた紙で、この形代に名前、年齢(数え年)を記入し、書き終えた形代で、頭からつま先まで、全身を丁寧になでます。具合の悪いところがある場合は、その場所を特に念入りになでます。そして、形代に息を3回吹きかけます。これによって、体内の穢れを形代に移します。そして形代を封筒などに入れて、神社に初穂料と一緒に持参(郵送対応をしてくれる神社さんもあります)して、奉納します。奉納された形代は、川や海に流す、お焚きあげなどで穢れが清められて浄化され、運気が上昇すると言われてます。 武蔵御嶽神社(青梅市)さんでは、愛犬のお祓いのための「犬形代」も頒布されてます。
白い外郎(ういろう)生地の上に小豆(あずき)を乗せ三角形に作られた 「水無月」という和菓子。 京都人にとっては「これを食べないと夏を迎えられない!」と言わしめるほど。昨年、お取り寄せして初めて食べましたが、さっぱりとした甘みと濃厚な小豆の風味と香りを楽しめました。「夏越川」、「御所氷室」も京都の夏を彩る一品です。
6月30日は「夏越ごはんの日」
2015年から『公益社団法人米穀安定供給確保支援機構』が提唱した「夏越ごはん」。茅の輪(ちのわ)の由来になった蘇民将来が、素盞嗚尊を粟飯でもてなしたという伝承にならい、粟や邪気を祓う豆などが入った雑穀、小豆などが入ったごはんの上に、赤や緑の旬の夏野菜を使った「茅の輪」をイメージした丸いかき揚げをのせ、百邪を防ぐといわれる旬のショウガを効かせたおろしだれをかけます。緑の食材は、ゴーヤ・インゲン・枝豆・オクラなど。赤の食材は、赤パプリカ・人参・エビなど。アレンジして作ってみても楽しいですね。
本当ならば、半年分の汚れを祓いに神社に参拝し、茅の輪くぐりをして、形代を納めて、夏越ごはんを食べに出かけたいところですが、今の状況では、参拝に行くのにも気を遣ってしまいます。 神社さん、お寺さんが提案し実行してくれてる 三密にならないためのバーチャル参拝、オンライン参拝、ライブ配信、インターネットでの遥拝など、 いろんな形でのお参りができるのも今だからこそかもしれません。 東大寺さんでは、 「3Dバーチャル参拝」でお寺の境内を練り歩くこともできますよ。御朱印やお守り、お札の郵送対応やネット通販をしてくださるところも増えてます。
夏越ごはんの作り方は、こちらで https://www.komenet.jp/nagoshigohan/#gohan
昨日20日で緊急事態宣言が解除され、東京は「まん延防止等重点措置」に移行されましたが、ワクチン接種券が手元に届いてない地区もあり、まだまだ先が見えない状況です。暑さと湿気でマスクも辛い季節ですが、「3つの密(密閉・密集・密接)」の回避、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒や咳エチケットの励行などのコロナ対策を引き続きしっかりとしながらも、早寝早起き、太陽の光をしっかりと浴びる、深呼吸、軽い運動など自分なりの気分転換を見つけてなんとか乗り切っていきたいものです。
参考 https://www.jinjahoncho.or.jp/omatsuri/jinja_no_omatsuri/ooharae