こんにちは髙橋です。
私には1歳半の娘ともうすぐ5歳になる息子がいるのですが、寝る前に毎日のように、絵本を読んで欲しいとせがまれています。それぞれ気に入っている絵本が何種類かあり、1冊の時もあれば、何冊かまとめて持ってきて、全て読めと言わんばかりに渡してきます。毎度同じページの同じフレーズにご満悦な表情を見せてくるのですが、何回もリピートさせられる身としては、何がそんなに面白いのか不思議な気持ちになるばかりです。
子供たちが満足ならそれでいいか、とあまり深くは考えていないのですが・・・
最近は上の息子が娘に絵本を読み聞かせているのを見ていて、それはそれで微笑ましい気持ちで眺めていたりもします。
さて、11月30日は「絵本の日」です。1986年(昭和61年)11月30日に、瀬田貞二(せたていじ)さんにより著された『絵本論』が発行されたことにちなんで、民間図書館「絵本と図鑑の親子ライブラリー」ビブリオキッズ&ベイビー&ラボが制定、日本記念日協会によって2012年に認定されました。
『絵本論』とは?
本書の第一部「絵本に出会う」は著者である瀬田貞二さんが他界した後に、子どもと子どもの本についてのエッセーのうち、絵本に関する文章のみを選び、まとめられたものと第二部「十二人の絵本作家たち」による構成が『絵本論』になります。
子どもたちにとって、あるべき絵本を、物語を求めつづけた著者の長年にわたる論を集大成。今、再び絵本とは何かを考える時、確かな手応えをここに見出すでしょう。子どもに関わる全ての人の必読書。
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=225
瀬田貞二さんの名前を聞いて誰ですか?という人はたくさんいるかと思います。実はこの方誰しも耳にしたことのある「ナルニア国ものがたり」シリーズや『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)の翻訳をされた方で、戦後の混乱期の中で児童文学の評論、創作、翻訳などに多大な功績をのこされた方になります。
主な作品・翻訳
ナルニア国ものがたり、指輪物語、あおいやまいぬ、アンガスとあひる、よあけ、かさじぞう、バラライカねずみのトラブロフ、おんちょろちょろ、おやすみなさいおつきさま、きょうはなんのひ?、いたずらおばけ、せんそうとへいわ、げんきなマドレーヌ 、うみをわたったしろうさぎ、三びきのこぶた、ブレーメンのおんがくたい、おだんごぱん、 おおかみと七ひきのこやぎ 等
そもそも絵本とは?
絵本論の一文にドロシー・ホワイトという人の次のような言葉を紹介しております。
「絵本は、子どもが最初に出あう本です。長い読書生活を通じてひとの読む本のうちで、いちばん大切な本です。その子が絵本のなかで見つけだす楽しみの量によって、生涯本好きになるかどうかが決まるでしょうから。またそのときの感銘が、大人になってそのひとの想像力をことあるごとに刺激するでしょう。だから、絵本こそ、力をつくして、もっとも美しい本にしなければなりません。画家と作家と編集者と―そしておそらく読者とが協力して、年上の人たちの本の千倍も、はなやかに魅力的にしなければなりません。彫刻や映画などと同じく、絵本は一つの美術形式なのです。また実際、すぐれた絵本は、膝の上で聞きいる子にも、声を出して読んでやる親にも、楽しい印象を刻みつけるものです……」
” 絵本は、こどもたちにとって手に取れる冒険の世界である”と瀬田さんは言います。また、子どもたちの本能的な探求心を満たしてくれるものとして、十分な働きをするとも言っています。
良い絵本とは?
ただ、世の中にあるすべての絵本が素晴らしいものかと問われたときに瀬田さんは、そうではないとおっしゃっております。
(1)よい絵本は、はっきりとしたテーマを持っています。
(2)小さい子のわかる、親しい主人公がでてきます。
(3)よい絵本は、りっぱな絵で挿絵してあることです。
(4魂のミクロの世界・・・『絵本論』より見出しのみ)
それぞれのカッコに詳しい解説がありますが、長くなるので割愛させていただきます。良い本の条件には上記の三つが揃っていると解説されております。要約すると、子どもたちが絵本の世界に入って、さも自分が物語の主人公になり体験しているかのような錯覚を覚える絵本が良いものと定義しております。
今思い返すと子どものときの絵本での物語は、ものすごい驚きやわくわく、恐怖心やドキドキ感といった感情の動きが、ジェットコースターのような起伏の中で読み進めていたことを思い出しました。私が子どもの頃に読んで、今でも覚えている絵本が『押入れの冒険』 作: ふるた たるひたばた せいいち 出版社: 童心社 です。当時は夜一人でトイレに行けなくなってしまったという意味では私にものすごい影響を与えた一冊です。
11月30日は「絵本の日」という訳で、よい絵本を改めて選んでみませんか?