こんにちは、渡辺です。
私が小学校低学年の頃(1970年代)学校から配られるプリントや文集は「ガリ版印刷」をしたもので配られていました。ガリ版の正式名称は謄写版(とうしゃばん)と言い、1894年(明治27年)、簡単便利な印刷器として発売されたのが始まりです。
印刷の手順としては、和紙にパラフィン等を塗ったロウ原紙と呼ばれる原紙をヤスリの上にのせ、「鉄筆」という先端が鉄でできたペンで文字や絵を書きます(この作業を「原紙を切る」と言う)。この部分は紙のロウがけずれ落ちて細かい孔がたくさん開き、「透かし」となります。木枠に原紙を張り、原紙の上にインクを塗り、下に紙をおいて、上からローラーで押さえると、「透かし」部分の文字や絵の部分だけにインクが通過し、印刷されます。
「ガリ版」の呼称は原紙を切る作業中に生じる音からきています。非常に簡易な印刷装置で、小型のものは手で持ち運ぶこともでき、原紙とインクさえあれば、電気などがなくても印刷ができるのが特徴です。このため、日本では小学校で副教材や問題用紙の印刷などにも多く使われました。
1970年代の蝋原紙に代わって現れたのが、ボールペン原紙です。ボールペン原紙は、ヤスリと鉄筆を必要とせず、どこにでもあるボールペンだけで原紙を切れるのが画期的です。子供でも簡単に切れるため、文集などを作るときはこの原紙を渡されて原紙を切りました。もちろん修正することも可能です。ボールペン原紙は青か緑色をしていて、ボールペンで書くと書いたところが白くなり、蝋原紙に比べると書いた文字が読みやすいのが特徴です。この原紙は台紙がついており、切ったあと台紙をミシン目から切り取り印刷機にセットができます。上の白い部分は残っているので、原紙をセットする、はずすというような仕事も、蝋原紙と比べるとかなり楽です。この後の印刷は先に述べた原紙の上にインクを塗り、下に紙をおいて、上からローラーで押さえると完成です。
1980年代前半頃になると、さらに画期的なものができました。ファックスです。ファックスといっても、電話で画像を送るFAXではありません。ここでいうファックスとは、普通の紙に書いた原稿をそのまま原紙に転写する機械のことを指します。回転するドラムの右に原稿を付け、左に原紙を付ける。スイッチを入れると、ドラムが回転し、右の原稿にある文字や絵画が左に原紙に焼き付けられます。構造的には、原稿側に光学的な読み取り装置がついており、原紙側には針がついていて、そこから放電させて原版を焼きます。この針は消耗品で、だんだん減ってくると印刷物にノイズが出てきます。おそらく、初期の(電話で画像を送る方の)FAXは、このファックスと同じようにドラム式らしいので、そこからファックスと呼ばれるようになったのでしょう。
最後に思い出したことがあります。私が通っていた小学校は当時、各クラスごとに月1~2回学級新聞なるものを発行していました。現代のようにパソコンも無かったため紙面作成はすべて手書きで行っていたのを思い出しました。