朝露に秋を感じる ~白露~

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こんにちは、藤島です。9月に入り、暑さも一段落。朝晩は大分涼しくなり、過ごしやすくなってきましたね。

9月8日は白露

立秋から数えて3番目の秋の二十四節気です。白露は、暑さも少しずつ収まり始め、草花に朝露がつくようになってくるということを意味しています。

江戸時代にたい 玄斎げんさい(常陸宍戸藩の第5代藩主 松平頼救)が記した暦についての解説書「暦便覧」には、「陰気いんきやうやく重りて、露にごりて白色となれば也」と記されています。このことからも、白露の時期は朝夕が涼しく秋らしい気候になることが感じられます。

また、日本文化に深く関わっている中国伝来の「五行説ごぎょうせつ」では、秋は白とされており、秋のことを「白秋はくしゅう」ともいいます。

露の美しさは、花や宝石の例えになることも多く、「露華ろか」、「露珠ろじゅ」、「玉露ぎょくろ」などがあります。「月の雫」という言葉は、露の異称です。たくさんの露が草木から滴り落ちる様子を表す「露時雨つゆしぐれ」という言葉もあります。

 

終わりゆく夏と秋の気配

白露は、季節の変わり目で体調を崩しやすい時期でもあります。色とりどりの旬な食材を食卓に並べて、目にも美味しい食事を心がけてみてはいかがでしょうか。猛暑で疲れた心身を癒して、元気に秋を迎えたいですね。

 

白露に食べたい旬のもの

白露の時期は、徐々に秋らしくなり、食べ物がおいしくなる時期でもあります。この時期に旬になる食べ物には、どんなものがあるのでしょうか?

さんま

さんまは、秋の食べ物の代表格と言えるかもしれません。この時期のさんまは、特に脂が乗っており、皮がピンと張って口先が黄色になっているのが特徴です。サンマが獲れる時期は9月~11月。2022年の初さんまは、7月14日に釧路港で水揚げされましたが、わずか24匹でした。そのうちの10匹(1匹110グラム)が東京・豊洲市場にもお目見えしましたが、1キロ当たり12万円、1匹換算では1万3200円という史上最高値でした。

すだち

すだちの旬は、8月~10月頃。そうめんに入れたり、さんまや松茸などに掛けて食べたりと、晩夏から秋にかけての味覚です。

かぼちゃ

かぼちゃも、秋が旬の食べ物のひとつです。かぼちゃには免疫力を高めるBカロテンや冷え性改善にも効くビタミンEが多く含まれているので、季節の変わり目であるこの時期にぜひ食べたい食材です。最近では、生で食べられるコリンキーやひょうたんのような形をしたバターナッツかぼちゃもよく見かけるようになりました。

かぼちゃとちりめんじゃこ和え

梨は、日本で栽培されている果物の中では最も古い果物と言われており、弥生時代の遺跡からもその種が見つかっているほどです。

あわび

高級食材として知られ、「貝の王様」とも言われるあわびは、海水の温度が約20度になる頃に産卵期を迎えます。そのため、栄養をたっぷりと蓄えた産卵期前の7月〜9月が旬です。古来より日本の神事や慶事に欠かせない食材で、天皇家や伊勢神宮への奉納品という意味で、別名「御貝おがい」とも呼ばれています。しかし、地球温暖化や環境破壊などの影響により、近年では漁獲量が減少しています。旬のあわびは、ビタミンが豊富で栄養価も高いので、白露の時期にはぜひ召し上がってみてください。

ぶどう

ぶどうには、大変多くの種類があります。ぶどうという果物と人類の付き合いは大変古く、紀元前3000年頃には原産地であるコーカサス地方やカスピ海沿岸でヨーロッパブドウが栽培され、ワインの醸造が行われていました。日本にも中国から東アジア系ヨーロッパブドウが伝わり自生していましたが、鎌倉時代初期に甲斐の国(現在の山梨県甲州市)で、甲州ブドウという品種の栽培が開始されました。

なす

原産地はインドです。日本へは中国を経て渡来、奈良時代にはすでになすの栽培が始まっていたと記録されています。現在、日本で栽培されているなすの品種は、200種以上。賀茂なす、米なすなどが有名ですね。「秋なす」という言葉があるほど、秋に収穫されるなすは、実も締まり種が少なく美味しいとされてきました。

また秋なすといえば有名なのが、「秋なすは嫁に食わすな」ということわざ。

このことわざが意味するのは、

  • 秋なすは嫁に食わすのがもったいないぐらい美味しい
  • なすは身体を冷やすから嫁の身体を思って食べさせてはいけない

と全く違う解釈がありますが、それだけ秋なすが美味しいということを表しているといえますね。

ごぼう

ごぼうの原種となる植物は、ユーラシア大陸の各地に広く自生していたとされています。ごぼうが日本に伝わったとされる時期には幅があり、縄文時代とする説や平安時代に伝わったとする説があります。伝わった当初は薬として用いられており、ごぼうを食べるようになったのは江戸時代から明治にかけてと最近のことです。中国やヨーロッパでは、現在も薬用に栽培されており、食用として栽培しているのは日本と日本の植民地だった一部の地域に限られます。

夏が旬の新ごぼう、秋から冬が旬の滝川ごぼうがありますが、水溶性・不溶性の食物繊維を多く含み便秘の解消に力を発揮します。

イチジク

イチジクは漢字では「無花果」と書きますが、これは花を付けずに実がなるように見えることから名付けられました。旬の時期は9月頃です。

栗の採れる時期は8月下旬~10月下旬頃。秋の味覚の一つです。白露のころからは「栗ご飯」のおいしい季節になりますね。

松茸

秋の味覚の中でも高価な食材として知られる松茸は、9月~10月に採れます。松茸ご飯や、松茸を入れたお吸い物は香りがよく、昔から食べられてきました。松尾芭蕉の俳句などにも登場します。

道の駅で買った野菜。生産者がわかる顔の見える野菜で安心です。

 

白露の時期に楽しめる花や植物

ツユクサ

ツユクサは、鮮やかな青色の小さな花が代名詞の植物です。小さな白色の花びらや、計4本ある黄色の雄しべも目立ちます。6月〜9月までと長期間に渡って開花するので、見たことがない方のほうが少ないかもしれませんね。ただ、ツユクサは一日花であり、早朝に咲いた花は午後にはしぼんでしまいます。

ミズヒキ

ミズヒキは、線のように細長い茎に赤と白の小さな花を咲かせる植物です。祝儀袋などに使われる「水引」に見た目が似ていることから、この名前が付けられました。林の中や木陰などの目立たない場所に生えるため、ツユクサと比べるとあまり馴染みがないかもしれません。北海道から沖縄までの広い地域で見られる花なので、外を歩く際には意識してみると良いでしょう。

ヒガンバナ

ヒガンバナは9月に開花時期を迎え、多くは赤い花をつけます。球根にリコリンというアルカロイド系の毒を含んでおり、もぐらやネズミなどから先祖を守るために墓地の近くに植えられたといわれています。秋に田畑の畦道で咲く赤い花がひときわ目を引く彼岸花は、有史以前に中国から渡来し日本に根付いた帰化植物です。仏教で天上に咲くという伝説の花の名前である「曼殊沙華まんじゅしゃげ」とも呼ばれることがあります。

鶏頭(けいとう)

ニワトリのトサカのような花を咲かせることから、この名前がつきました。トサカ系、久留米系、キルドシー系、プルモーサ系と4つの系統に分かれており、草丈や花の形は様々です。

女郎花(おみなえし)

十五夜に飾る秋の七草でもある女郎花は、万葉集や源氏物語にも登場するほど古くから愛されてきました。1mほどの背丈に、黄色い小花をいっぱい咲かせて秋の風になびく様子が素朴ながらも風情のある花です。かつては各地の山野や草むらで咲く姿を楽しめる花でしたが、近年はすっかり見かけなくなってしまいました。

名前の由来は、「おみな圧し」「おみな減し」が転じたという説が一般的です。「おみな」は「おんな」、特に美しい女性を表しています。「圧し」、「減し」はその美人を圧倒している、女性の美しさが負けてしまうほど美しい花だという意味で、やがて読みが「へし」から「えし」に変わりました。

コスモス

「秋桜」と書くコスモスですが、日本に入ってきたのは、幕末から明治初期の頃。「kosmos(美しい)」というギリシャ語に由来しています。花びらが整然と並ぶ美しい姿をたたえて名づけられたといわれています。秋になると各地のコスモス畑が花盛りを迎え、薄いピンク、濃いピンク、白色の花が見る人を楽しませてくれます。

芙蓉(ふよう)

夏から秋にかけて、大輪の大きな花を咲かせる芙蓉は、室町時代には観賞用の庭木として栽培されてきた記録が残されています。花の美しさから、美人を「芙蓉のかんばせ」と例えることもあるほどでした。伊豆半島や紀伊半島などの山野に芙蓉が咲いていることがありますが、いずれも中国から伝わった花が野生化したものと考えられています。

まとめ

いかがでしたか?

涼やかな風が心地いい季節が到来。自分なりの楽しみ方を見つけて秋を感じてみませんか?

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