こんにちは、藤島です。
皆さんは「自己効力感」という言葉を聞いたことがありますか?
自己効力感とは
カナダ人心理学者アルバート・バンデューラ氏が提唱した「自己効力感」(self-efficacy)とは、「自分ならできる」、「目標を達成できる」という自分に対しての期待感です。
以前ブログにて紹介した「自己肯定感」に比べるとあまり馴染みがないかもしれませんが、「自己効力感」もこどもの学力や人格形成に与える影響が大きいと言われています。
アルバート・バンデューラ(Albert Bandura)氏は、「自己効力感」や「社会的学習理論」を提唱した、20世紀を代表する心理学者。「自己効力感」とは、「自分は問題を解決できるだろう」という自信。社会的学習理論とは、他者の行動の観察学習および模倣(モデリング)に関する理論を指します。
自己効力感が高いこども、低いこども
自己効力感が高いこどもの特徴
- 何事もまずはチャレンジしてみる
- 自分を信じているので全力で取り組むことができる
- 失敗しても「次は成功できる」と前向きに考えて乗り越えられる
- 自分の能力を人と比べない
自己効力感が低いこどもの特徴
- やる前から諦める
- 自分に自信がないので、全力で取り組まない
- 失敗すると「やっぱりダメだった」とさらに落ち込む
- 劣等感が強い
自己効力感を高める方法
アルバート・バンデューラ氏は自己効力感を高める方法として「直接的達成経験」「代理体験」「言語的説得」「生理的情緒的喚起」の4つを挙げています。
直接的達成経験
直接的達成経験とは、目標や挑戦したことを達成し、成功した経験を指しています。達成しやすい適切な目標を多く体験し、成功体験を作っていくのが効果的です。
代理体験
代理体験とは、自分以外の人が目標を達成したり、成功していることを観察することです。自分の成功体験だけではなく、他者の成功体験からも自己効力感を高めることが可能です。
言語的説得
言語的説得とは、他者から「自分はできる」と応援してもらうことです。家族や先生、友人などから励ましの言葉を受けることで自己効力感は高められます。むやみに励ましたり、応援するのではなく、適切な目標設定を掲げた上で応援することが、より説得力のある声かけに繋がります。
生理的情緒的喚起
自信を持って何事にも積極的にチャレンジするには、心身ともに健康であることが重要です。体調の管理を行うこと、夜更かしをしないで十分な睡眠を取ること、好き嫌いをせずにバランスの良い食事を取ること、適切な運動を続けることなどがあげられます。
「自己効力感」を高める体験
こどもに「自己効力感」を高める機会を与えたい場合は、こどもの成長発達に応じた家事労働を任せることをおすすめします。
小学生を対象にした「子どもの家事労働と子どもの自己効力感との関連」についての研究では、親の養育態度がバランス良く優れているこどもほど生活技能が高く、その中でも「親から受容されているこども」が特に優れているという結果が報告されています。
ささいな家事であってもこどもにとっては「自分はできる」という自信を養うことができ、失敗を恐れない意識づくりを促すことができるとされています。
自己効力感を伸ばす親の対応と声かけ
結果ではなく「プロセス」をほめる
プロセスを認めてほめてあげましょう。結果だけをほめていると、結果を出せなかったときに「自分に能力がないからだ」と、こどもは感じてしまいます。取り組んだ過程の努力や、挑戦したという姿勢、そしてこどもなりに工夫した点に言及することが大切です。
声のかけ方
「頑張って最後までやりきったね」
「いろんな方法を試してみたんだね」
「そんな考え方があるなんて、ママも知らなかったよ」
ほめるときは具体的に
こどもをほめるときに、「すごいね」「えらいね」と、ひとことで済ませていませんか?
ほめ言葉は具体的であればあるほど、ほめられた側はモチベーションが上がり、「次も頑張ろう」と意欲が湧いてくるものです。
声のかけ方
「たくさんの色を使ってカラフルな絵が描けたね」
「いろいろなやり方を試して、ひとつの答えを導き出したんだね」
「昨日より上手にできたね」
失敗を「悪いもの」としてとらえない
大人は長年の経験から、失敗から学ぶことの大切さを知っています。しかし、こどもは自分が失敗したせいで両親が悲しんだり、残念がったりしている様子を見ると、「失敗は悪いことだ」と感じてしまいます。こどもが失敗したときこそ、その経験から学べることがあると伝えてあげましょう。
声のかけ方
「失敗しても最後まで諦めずにやりとげたね」
「この結果が出たおかげで、いろいろなことを気づけたね」
「次はこうしよう、って新しいアイデアを思いついたんだね」
さいごに
自己効力感とは「やってみよう」と思う心です。この心を育むことで何事にも挑戦して、さまざまな経験を積んでいくことができます。
そうした成功体験や幸せな感覚を自分の中に蓄えていくことで自己肯定感も高まっていきます。また、こどもにかけてあげたい言葉を、自分自身にもかけてみましょう。
そうすることで、こどもだけではなく、親自身の自己効力感・自己肯定感も相乗的に高まります。「自己効力感」も「自己肯定感」も、親子で一緒に育てていきましょう。