こどものレジリエンス(粘り強さ)の育み方

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こんにちは。小宮です。

以前のブログで、こどものグリット(やり抜く力)の伸ばし方についてお話ししました。

グリットとは非認知能力のひとつで、グリットを伸ばしたこどもは物事・課題に対して挫折をしても途中で投げ出すことなく工夫して取り組み、最後までやり抜くことができるといわれています。

このグリットは、4つの要素から構成されています。

Guts(ガッツ):困難に立ち向かう力、度胸
Resilience(レジリエンス):失敗してもくじけない粘り強さ、回復力
Initiative(イニシアチブ):自ら目標を定め取り組む力、自発性
Tenacity(テナシティ):挫折しても最後までやり遂げる力、執念

それぞれの頭文字を取り、「GRIT(グリット)」と呼びます。

今回はこのグリットを構成する要素のひとつであるレジリエンス(Resilience)についてお話しします。

 

レジリエンスとは

レジリエンス(Resilience)とは、「回復力」あるいは「弾力性」ともいわれ、逆境から這い上がっていける力、簡単には折れないしなやかな心を意味します。

心が傷つかない人・挫折しない人という意味ではないので、そこには注意が必要です。

レジリエンスはAIの加速度的な進化など、何が起こるか分からない変化の激しい社会で生き抜くために必要な能力として、教育界でも重視されています。

 

なぜ、こどもにレジリエンスが必要なのか

こどもにとって折れない心・逆境に負けない心であるレジリエンスを持つことの重要性が昨今では高まっています。

その理由として挙げられるのがストレスの問題です。友達との人間関係やクラスでの立ち位置、試験や受験のプレッシャーなどはこどもにとって強いストレスです。

それ以外にも、習い事やスポーツなどの挑戦を求められる場面での失敗など、レジリエンスを必要とするときは多く存在します。また、新型コロナウイルスの弊害から生じるストレスによる心身の不調を訴えるこどもも増えています。(国立成育医療研究センターが2020年8月18日に公表した、第2回「コロナ×こどもアンケート」

ストレスはかつては大人が抱えるものと考えられていましたが、近年ではこどもも様々なストレスに取り囲まれているために、折れない心・逆境に負けない心であるレジリエンスを持つことは重要になっています。

 

レジリエンスが高いこどもの特徴

折れない心・逆境に負けない心と聞くと、レジリエンスが高い人は傷つかない人や挫折しない人であると思われるかもしれませんが、そうではありません。レジリエンスを身に付けたこどもは、ストレスをときには跳ね返し、ときには受け流して対応することができます。

レジリエンスが高いこどもには下記の特徴が挙げられます。

 

精神面

レジリエンスが高いこどもは自己肯定感が高いという特徴があります。自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定して受け止めることができる感覚のことです。 他人との比較ではなく、ありのままの自分を認め、自己の価値を感じることができる心の状態を指します。

自己肯定感が高いこどもは困難に陥ってもそれを跳ね除け、その状況から抜け出すことができるほどの頑強な心を持っています。

 

行動面

レジリエンスが高いと、自分にとってハードルの高い課題に取り組むときに、恐れずに挑戦することができます。

恐れずに挑戦するという行動は、自己肯定感によるプラスの影響と考えられます。また、挫折しても失敗から学び、成功体験へ繋げることができます。

 

大人のレジリエンスの育み方・高め方

レジリエンスの育み方・高め方についてはアメリカ心理学会(APA)がレジリエンスを築く10の方法として下記の10項目を提唱しています。

 

親しい家族や友人との良好な関係を築く

一人ではなく、支えてくれる人がいる、いざというときに相談できる人や信頼できる人の存在は、大きな心の支えになります。

克服できない問題ととらえない

問題に対して、あれこれと考えて深刻な問題ととらえないようにしましょう。何とかなるものと楽観的に考えます。

変化は生活の一部であることを受け入れる

かえられない変化を受け入れ、そんなこともあると受け止めましょう。

目標に向かって進む

大きな目標ではなくてもよいので、現実的に進んでいける目標を立てて、できることから実行しましょう。

断固たる行動を取る

困難な状況であっても、決断し行動することが大切です。まずはやってみましょう。

自己発見のための機会を探す

努力しても上手くいかないこともたくさんあります。そんなときは、自分にとって大切な経験になっているととらえて、自己発見のためのよい機会になったと考えましょう。

自分を肯定的にとらえる

自分に対することになると、ネガティブに考えてしまいがちですが、できるだけ肯定的な見方も持つようにしましょう。必ずいいところがあるので、自信をもって良い点に注目しましょう。

物事のとらえ方についての見通しを持つ

起こったことに対して、短期的な目先のことにとらわれずに、長期的な目線で見るようにしましょう。起こったそのときは一大事だと感じることも、長い目で見ると大変なことではないかもしれません。

希望的な見通しを持つ

悲観的な状態でいても、事態はよくなりません。楽観的に考えて希望的な見通しを持ちましょう。

自分自身を大切にする

自分の心と体を大事にして、自分に必要なことや自分の気持ちに注意を向けましょう。

 

これらのことを意識することでレジリエンスを高めることができるとされています。

 

こどものレジリエンスの高め方

上記を踏まえて、こどものレジリエンスの育み方をご紹介します。

 

絆を強固にする

身の回りの人間関係がしっかりしていると、人は強くなれます。家庭や友だちとのつながりが強固だと、傷ついたり、落ち込んだりするようなことがあっても、復活が早くなります。

1人では立ち上がれないことでも、周囲の温かな支えがあればまた挑戦することができます。

 

先回り行動をやめる

親は思わず先回りして、なにかとやってあげたくなります。

しかし、親が本当にやってあげるべきなのは、先回りして失敗しないようにしてあげることではなく、失敗しないような力を身に付けさせたり、失敗してしまったときにどう対処したらいいかを教えてあげたりすることです。

親は、こどもが負の感情を持つことをできるだけ避けたいと思うものです。しかし、負の感情を経験せずに大人になることは実際には難しいですし、そこで自分を立ち直らせる方法を知らずに大きくなると、打たれ弱い子になってしまいます。

失敗することよりも、その後の解決法を知らぬまま育ってしまうことの方がマイナス面が大きいので、あえて先回りしないことでレジリエンスを高めることにつなげていきましょう。

 

自分で決めさせる

親がこどもの行動を管理しすぎてしまうと、その子のレジリエンスはなかなか育ちません。親がリードしつつも、こどもにできる判断や決断はできる限り委ねていきましょう。

自己管理が上手になると、レジリエンスが育つだけでなくスランプやストレスを未然に回避する力にも繋がっていきます。まずは、何で遊ぶか、何を着るか、何を持っていくかなど、自分の身の周りの簡単なところから決める習慣を促していきましょう。

 

生活習慣を整える

レジリエンスが高いこどもは生活面にも特徴があります。適切な睡眠時間、栄養バランスのとれた食生活など生活リズムを整えることで、体への良い働きかけをすることができます。

反対に、食事のバランスが乱れたり、十分な睡眠時間を確保できずに疲労が蓄積すると、レジリエンスが低くなり悪循環に陥ってしまいます。こどもの生活習慣を整えることを心掛けるようにしましょう。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。ポジティブな土台があって、そこに絆や自分で行動する力が備われば、引きずることなく自分を信じて立ち上がりやすくなります。

レジリエンスはコツコツと積み重ねていくものですので、こどものうちから意識的に働きかけていくことがおすすめです。

 

【参考文献】

子どもの「逆境に負けない心」を育てる本 楽しいワークで身につく「レジリエンス」

足立啓美、鈴木水季、久世浩司(著)

 

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