はじめに・・・
この度は「ぼうけんてちょう」をご購入いただき、誠にありがとうございます。「ぼうけんてちょう」は初めて手帳を使うお子様でも使いやすく、楽しく使えることを目指して制作しております。
こちらは、どうやって手帳を使えばいいのか? という親御様のために、導入からそれぞれのページの使い方を掲載した「活用ガイド」のページです。
この「ぼうけんてちょう」は、手帳を通じて「親子のコミュニケーションの円滑化」や「より良い生活習慣の定着」、「自分で考える力」を身に付けることを目的としております。ですが、それ以外の目的で使ってはいけないというものではありません。お子様が好きなように目的を設定、追加していただければと思います。
あまり気負わず、楽しそうなページから気楽に始めてみてください。たった一冊の手帳ですが、お子様にとって楽しいものになるよう願っております。
ぼうけんてちょうを始めるにはどうすればいいの?
まずは手帳を楽しみましょう
手帳を長く使っている小学生のこどもたちに「なんで手帳を使っているの?」と質問をしたところ、「楽しいから」といった回答を多くもらいました。こどもにとって使い続ける理由は単純で、『楽しいから』続けるのです。
最初は親子で使ってみて『楽しむこと』から始めてみてください。月間ページにシールを貼る、週間ページに好きなことを書き込む、好きなものを手帳に挟み込む、ミッションに挑戦するなど、お子様の好きなように活用してもらい、まずは手帳を好きになってもらいましょう。
迷ったらまずはミッションから
ぼうけんてちょうには様々な便覧が収録されているため、どこから手を付けるべきか悩んでしまいます。
そんな時は、「冒険のきろく」のミッションから始めてみましょう。
理由としては、
・この手帳のチュートリアルにあたるミッションがある
・こどもの興味・関心を引きやすい
・他のページに誘導できる
の三点が挙げられます。
ミッションを達成することで、週間ページに達成したことを記入したり、後述しますがサクセスツリーにシールを貼ったりと、様々なページに誘導ができます。
まずは、下の枠内のミッションに挑戦したり、こども自身が興味を持ったミッションをやってみましょう!
月間・週間・便覧を楽しみましょう
手帳に掲載されている、いろいろな項目を使用してみましょう。
月間ページには、今月の目標を立てる場所や、その月に関する豆知識が記載されています。自分や家族、友達の誕生日を記入したり、旅行の予定や家族行事を書きましょう。
週間ページには、今日の出来事やその日にやることを記入してみたり、ページの右上に記載されている、大人でも簡単に答えられない「今週のギモン」について一緒に考えてみてください。
便覧にはこどもの刺激となるコンテンツが多数収録されています。新たな興味・関心を持つきっかけになればと思います。
手帳を毎日開く習慣をつけましょう
単純なことですが、手帳を毎日使うためには、まず初めに「手帳を毎日開くこと」が大切です。手帳は継続して使用することで初めてこどもに変化を与えてくれます。まずは手帳を開く習慣を作りましょう。
手帳を開く習慣を作るためには、「朝起きてリビングの決まった場所にある手帳を見る」といったように、手帳を開く場所・時間を決めましょう。
手帳を開く習慣が身に付くと、「手帳を見て朝の準備をする」や「手帳を見てもちものをチェックする」といった、その先にある行動の習慣化につながっていきます。
今日が何月、何日、何曜日なのかは大人からすると当たり前の認識ですが、実はこどもはあまり深く認識できていません。生活のリズムを作る上で、手帳は『今日』を強く認識させてくれます。『今日』を意識できれば自然と日々の変化に気づきやすくなり、自分をどうコントロールすればうまくいくのかを知ることができます。
手帳を毎日開く仕組みを下記のボックスを参考に、各家庭で考えてみてください。
・開く場所を決める(リビング・勉強机等)
・おうちルールの確認をする
・週間ページに毎日簡単に実行できる予定を書いてみる
・実行できたら赤線で消すなどをして小さな達成感を得る
・起きた時間やお手伝いの記録をする
・シールを貼ってみる
・3行日記を書いてみる
それぞれのページの使い方
ねがいごと・しょうらいのゆめ
手帳を開くと一番最初に出てくるページです。
こどもに手帳を書いてもらうのであれば、せっかくなのでこどもの願い事や将来の夢を書き留めてもらい、この手帳を使う意味を持たせましょう。こどもが今やりたいことや何を実現したいかを確認することで、たとえ思い付きのものであっても自分のことを意識できるようになります。
書いて見える化することで、実現のために何をすればいいのかを考える機会にもなります。
この方法は、大人の手帳術にもよく出る手帳の活用法の一つになります。欲しいものや行きたい場所、やりたいことなどを手帳に書くと叶うと言われています。こどもに将来の夢や欲しいものを書いてもらうことで、1年の行動が変わるかもしれません。是非活用してみて下さい。
マイプロフィール
マイプロフィールは、自分の名前を書く練習や、手帳を使い始めたときの身長・体重、誕生日・血液型などといった、自分の情報を記入するページになります。
自分の得意なことって何だろう?好きな遊びは何だろう?といった現在のことを書くことで、今の自分を俯瞰的に見ることができます。また、年齢を重なるにつれて過去の自分と比較するための材料になりますので、成長の実感や趣味・思考の変化を自覚できます。
サクセスツリー
サクセスツリーはシールを貼るための台紙のページです。こどもが日々のできたことに対してシールを貼って蓄積することで、達成感を得ることができるページとなっております。
シールの種類については、こどもの好きなものや木のイメージに合ったものを用意することで、デザイン力や想像力の向上にもつながります。
貼るための条件は各家庭で設定してもらえれば良いと思います。
例えば
・1日1回手帳を開いたら、シールを1枚貼ることができる
・宿題をやったら2枚貼れる
・お手伝いをしたら2枚貼れる
・ミッションを達成したら3枚貼れる
といった形で導入していただけると手帳を開く習慣に結びつき、楽しく続けることができます。
おうちルール
ご家庭において一番の戦場ともいえる「朝の時間」と、情報共有が非常に重要な「帰ってからの時間」について、こどもが自主的に動いてくれたらどんなにストレスが減るだろうと思っている親御さんが多いと思います。
このページでは、こどもと話し合いおうちルールを設定することで、「こどもが親に言われなくても率先して行動に移せるようになる」ためのページになります。
おうちルールは行動を細分化できるので、一度設定をしてしまえばこどもが自分で見て行動できるようになります。ルールを守れたときや一人でできたときは、できたことをほめることで継続して取り組めるようになります。
今まで一人でできなかったことができるようになることで、自分を肯定する体験となります。その小さな体験を積み重ねることで、自信につながり自立を促すことになります。
ルールを守れなかったときは、叱る前になぜできなかったのかを確認し、こどもと一緒に考えて改めてルールに落とし込むなど工夫をしてみましょう。
・一人でできたことについてしっかりとほめる
・できなかったことを叱らないで原因を聞き、今後どうすればいいかを一緒に考える
もちものリスト
こどもの持ち物を親が用意しているご家庭が多いかと思います。学校や習い事など、毎日の決まった持ち物については「もちものリスト」を作成し、こども自身に用意してもらいましょう。
最初から一人で準備をするのは難しいと思いますが、おうちルール同様、次第に手帳を見て自ら用意できるようになります。また、一人で準備ができることで自分を肯定する体験ができます。
こどもが昨日まで一人で準備をできていたのに、急にできないといったことを言ってくる場合があります。それは親御さんに甘えたいという願望になりますので、その場合はしっかりその願望を満たしてあげることで、また一人で準備できるようになります。
習慣化するまでは少し時間がかかりますので、こどもの気持ちを満たしてあげながら、おうちルール・もちものリストを活用して徐々に一人でできるようにしていきましょう。
一週間の行動予定
ここでは、世の中の流れが一週間という時間のサイクルで回っていることを認識してもらうことと、自分が決まった曜日に決まった予定が入っていることや、一日という時間の中でどんなことにどれだけの時間がかかっているかを理解するためのページとなっております。
また、時間の管理という面で、遊ぶ時間を増やすためにどうすれば良いかなど時間の効率についてを考える機会になればと思っております。
ページが学習的な内容に見えてしまい、こどもからすると少々手が付けづらいページかもしれません。
例えば、「ゲームができる時間がどれぐらいあるか調べてみよう!」といったように、楽しみに使える時間を確認するツールだと認識してもらうことで、記入できるようになるかもしれません。
おこづかいちょう
おこづかいちょうを使うことによって、お金の大切さを学習できます。お金が有限であることを意識してもらった上でこどもがお金を管理することで、正しいお金の使い方や金銭感覚を養うことができます。
正しいお金の使い方や金銭感覚を養うには、家庭におけるお金の教育が大切です。こどもがおこづかいでなにかを買う経験をすることで、限られたお金の中で本当に欲しいものについて考え、自分の欲求をコントロールする力が身に付きます。
おこづかいの渡し方は、毎月定額を渡す方法やお手伝いやお祭りといったイベント時に渡す方法などがあると思いますが、お手伝いをしたときにおこづかいを渡すといった方法をお勧めします。金額や設定については各ご家庭の方針で決めていただければと思います。
お皿を洗う20円
みんなのお皿を片付ける10円
洗濯物を干す20円
台ふきんで机をふく10円
配膳する10円
1日の上限を合計100円~200円くらいが上限になるように設定すると、毎日お手伝いをすると毎日お菓子が買えるといった期待をしながらお手伝いができますし、お金は労働の対価であることをこどもながらに理解ができるようになります。
また、自分の大切なお金のことになりますので、勉強としての算数とは違った側面で計算をする機会ができます。
もらったものリスト
入学祝やお年玉、七五三のお祝いといった季節の行事や、お友達のお母さんからのちょっとしたいただきものなど、こどもを経由する形でものを貰う機会が多いかと思います。
こどもにとっては、自分が色んな人からものを貰ったという嬉しい体験を書くページになりますし、親にとっては、お礼が必要かを判断したり、お返しに何をしたかを記録するためのページになります。
また、記録を残すことで、類似の事例があった場合に判断に困らないといったメリットもあります。
週間ページ
手帳に慣れてきたら、週間ページも使ってみましょう。今日やる予定を書いても良いですし、今日の出来事を日記みたいに書いてみるものいいと思います。
日記の書き方を工夫してみましょう
手帳に書くのがめんどくさいと感じるこどももいます。
単純に書くことがめんどくさいと思っている場合もありますが、そもそも何について書いていいかわからないということも多いようです。
その場合は、曜日や日付で書くお題を設定することで、継続して手帳に書くことができるようになります。
SNSにて「今日のお題」を投稿しているので、最初のうちはそちらを参考にしてみるのも良いかもしれません。
毎週コメントをしましょう
週間ページの終わりに「おうちのひとのコメント」欄があります。コメントを考えて書くというのは、親がこどもに対して向き合う時間ができるということです。こどもの状態を振り返り、達成できたことや起きた出来事についてコメントをしてあげましょう。
また、こどもにとっても親のコメントは最大のやる気アップにつながります。こどもの自己肯定感を育てることにもつながるので、少なくとも週に一回はコメントしましょう。
コメントを毎週書いている家庭とそうではない家庭では、こどもが継続的に使用できるかの差が大きく出ます。
最初の頃はコメントを書くことが大変かもしれませんが、徐々にこどもが日記欄を書けるようになってくると、自然とコメントが書けるようになります。また、日記欄を通して対話する機会も増えていきます。
親からのポジティブなコメントは、こどもが落ち込んだときの特効薬にもなるので、大変かとは思いますが、是非取り組んでいただきたいです。
冒険のきろく
冒険のきろくは、春・夏・秋・冬の四季にちなんだミッションにチャレンジすることで、様々な体験や気づきを得てもらいたいという思いから制作されました。
一人でできるミッションもありますが、親の協力が不可欠なものも多数あります。教科書などで得た知識と体験を通じて得た知識では、理解に大きな差があります。小さなミッションもいくつかありますが、達成する喜びを感じ、体験をするきっかけになると考えております。
また、家族でお出かけをしたり行事に参加することで、思い出作りにもなります。
ミッションの活用例
シーズンミッションのコンプリート報酬の設定(ねがいごとのページに書いてあることを叶える)や、一つ達成するごとにちょっとしたご褒美の設定(くじが引ける、食べたいものリクエスト券)など、こどものモチベーションが上がるような設定をすることで、進んでミッションに取り組んでもらえます。
ミッションが楽しいとこどもが思うようになったら、年間ミッションページ右の「家族で設定するミッション」に習慣化してもらいたいことについてをミッションとして追加し、挑戦してもらいましょう!!
朝の準備を自分でする。(6月1日~7月15日)
お手伝いを1日1回以上する(7月15日~8月31日)
朝起きたら「おはよう」を家族に言う
毎日9時までに寝る(9月1日~9月30日)
宿題をやってから自分のやりたいことをやる(1月9日~1月30日)
ここでも、ミッションの設定をこどもが納得する形でこどもに決めてもらいます。ミッション期間としては、3週間~長くても1月半くらいまでに設定いただくと良いかと思います。
親の都合や体調不良などの不可抗力によりできなかった場合は、柔軟に対応することが大切です。
こどもが手帳を使うとこんな変化が・・・
生活習慣や親子のコミュニケーションが良化することで、こどもにとっての良いことはもちろん、親側にとってもメリットが多いことがご理解いただけるかと思います。特に、日頃仕事に追われてこどもと会話する時間すら取れないパートナーがいるご家庭では、こどもと日中どんな関わりをしているかの共有がしやすくなり、漠然として育児不安を軽減することにもつながります。
最後に…
こどもの頃から手帳に慣れ親しんでもらうことで、計画性や主体性などの非認知能力を自然と身に付けることができます。これはこれからの社会で求められている能力素地であり、これからの時代に必ず求められる能力になります。ですが、それ以上にこどもの記憶を手帳に残すということが、大人になってから多くのものを与えてくれると思っております。
小さい頃の写真をアルバムに保存している家庭は多いかと思いますが、小学生の頃の『記述』は残っていない家庭がほとんどではないでしょうか。
写真はアルバムの中で、文字や思考・体験の記録を手帳の中で、いつの時代でも幼少期の自分を確認できるツールを親が用意することは、こどもにとって最高の贈り物になると思っています。
最後になりますが、是非ぼうけんてちょうをご活用いただき、親子の会話のきっかけやこどもに日々の記憶を整理し表現する場所、日々の成長を実感し自己肯定感を高めるためのツールとしてご利用いただけたらと思います。